中央大学は、看板学部として法学部を有する総合大学です。
もともと法律学校として誕生した歴史や長年の司法試験合格実績で注目されている大学であり、「法の中央」と呼ばれることも少なくありません。
今回は、中央大学の看板学部である法学部についてお伝えします。
今後法律関係の仕事に就きたい方は、ぜひチェックしてみましょう。
中央大学の看板学部「法学部」はどんな学部? レベルや学べる内容は?
早速、中央大学法学部の特徴を解説します。
どのような学部なのか、まずは概要を確認してみましょう。
中央大学法学部の概要&歴史
中央大学は「英吉利法律学校」として設立した歴史を持ち、法学部は130年の歴史を持つ看板学部でもあります。
これまで法曹界を始め官界・政界・実業界などに優れた人材を多く輩出してきました。
伝統と文化を重視した学びができる一方、社会の変化と大学教育に対するニーズに答えながらカリキュラムを定期的に見直しており、時代のトレンドに合った学びも可能です。
また、すべての学科において、外国語習熟度別クラス編成、海外留学の支援等の採用、国際的視野で考える能力を身につけるための科目の設置がされています。
少人数の演習での教育を充実させ、論文作成、問題の発見・解決、ディスカッション等のトレーニングもしているので、コミュニケーション能力をつけたいときにもおすすめです。
学生数や男女比は?
中央大学法学部の学生数は、下記の通りです。
【法律学科】
入学定員:882名
総定員:3,528名
男子学生数:2,094名
女子学生数:1,465名
総学生数:3,559名
【政治学科】
入学定員:389名
総定員:1,556名
男子学生数:827名
女子学生数:654名
総学生数:1,481名
【国際企業関係法学科】
入学定員:168名
総定員:672名
男子学生数:341名
女子学生数:359名
総学生数:700名
中央大学法学部の3学科
中央大学法学部には、下記3つの学科が設置されています。
それぞれ同じ法学部であっても学ぶ内容が異なるので、志望に合った学科を選択することが重要です。
法律学科
法律学科は、下記を学びの目標にしている学科です。
- 法曹(裁判官・検察官・弁護士)をめざすための法的知識や論理力、思考力を高める
- あらゆる行政部門において必要とされる法運用能力を身につける
- 国際化に対応できる総合的法学知識を学び、外国語運用能力を習得する
法律家として求められる人権感覚や国際的素養を基礎として身につけ、社会問題を法律のプロとして解決する道を探ります。
憲法・民法・刑法などの法律科目だけでなく、歴史・哲学などの幅広い教養、コミュニケーション能力としての語学等を身につけることも特徴です。
法律学科では、教養・語学等の科目を含む導入・基礎科目、それらを発展させた応用・発展科目によってカリキュラムが構成されているので、事前にシラバスをチェックしてみるのもよいでしょう。
通常の講義以外にも、1年次から設けられている少人数のゼミ、実務法曹による講義、インターンシップ、課外の法職講座・公認会計士講座等々、進路に応じた勉強ができる多様な授業が用意されています。
国際企業関係法学科
国際企業関係法学科は、下記を学びの目標にしている学科です。
- 企業活動の国際化に伴う問題解決に必要な法律・経済・文化すべての面にわたる国際感覚を養う
- 日本の法文化と他国とのかかわりを把握するための基礎知識を身につける
- 国際社会で活躍するためのコミュニケーション能力を高める
複雑な利害を持つ国家、国際組織、企業、NGO、個人などから成り立つ近年の国際社会に合わせ、地球規模のリーガルマインドを身につけます。
カリキュラムでは、多彩な専門教育科目を通じて、法律の知識を学ぶことと、現代の国内・国際社会のなかでの企業の役割を知ることとを、有機的に結びつけて学修できるようにしているのも特徴です。
政治学科
政治学科は、下記を学びの目標にしている学科です。
- 政治学・法学・経済学のバランスのとれた基礎知識をもとに、あらゆる事象に批判的・論理的に対応する力をつける
- 自分の考えを表現し、しっかりと人に伝える
- 国際化社会の課題を発見し、分析して提案・解決する能力を養う
歴史や思想に学びながら、市民社会、ガバナンス、グローバリゼーション、ジェンダーなどの現代的課題に応える力を養います。
「NPO・NGO論」「ガバナンス論」「平和学」「環境政治論」「ジェンダー政治論」「カルチュラル・スタディーズ」など、新しい視点から21世紀の政治社会のあり方を考えていく科目も多数設置されているのでチェックしてみましょう。
公務員をめざす人には、法と政策との関係について学べる「公共政策コース」と「地域創造コース」、国際公務員や国際的な仕事に就きたい人には、国際政治や国際法を学べる「国際政治コース」、ジャーナリストをめざす人には、政治や社会とコミュニケーションとの関係について学べる「メディア政治コース」など、多様なコースを提示しています。
4年間で学べる内容とは?
下記では、各学科に設置されているゼミのテーマ例を紹介します。
学べる内容は年度ごとに変わることも多いので、参考にしてみましょう。
法律学科
- 憲法解釈の基本問題
- 模擬仲裁と模擬交渉
- 民事紛争処理手続に関する重要問題の研究
- 刑事判例研究
- 会社法の現代的課題
- 生命倫理と法
- 現代社会と労働法
- 高齢社会における民法の役割 など
国際企業関係法学科
- 国際安全保障
- 金融取引と国際私法
- 現代国際法の諸問題
- 国際法と紛争解決
- 国際法と正義論
- アジアのビジネス法研究
- 商標法を中心とした知的財産法 など
政治学科
- 「セキュリティ」の政治
- 日本国債
- 環境政治とガバナンス
- 第三世界・発展途上国の研究
- 公共経営とはなにか、国内外・中央政府・地方政府などの政策を分析しつつ、考える
- まちづくり・環境・福祉−現場から考える
- 現代政治とメディア・情報 など
法学部の学費は?
法学部の初年度納入額は、下記の通りです。
なお、年次があがるほど総額は減る傾向にありますが、最低でも下記で示す単年度×4年分の学費を準備しておくのが理想です。
入学金:240,000円
授業料:823,400円
実験実習料:0円
施設設備費:218,900円
父母連絡会費:5,000円
学友会費:10,000円
入学手続時納入金:776,150円
入学後納入額(後期分):521,150円
【初年度納入額合計】1,297,300円
中央大学の看板「法学部」が別格と言われるその強みとは?
中央大学が法学部を看板学部にしているのは、法律学校を源流とする歴史があるからだけとは限りません。
下記のように、法学部ならではの学びができるからこそ、看板学部として評価を得ているのです。
他大学の法学部ではなくあえて中央大学法学部に進学する人が多い理由を、探っていきましょう。
「一貫教育プログラム」で法曹・公務員養成が徹底されている
中央大学法学部では、法学部3年間+法科大学院2年間を前提とする「一貫教育プログラム」を導入しています。
中央大学法科大学院との連携ができたことで、法学部を3年で早期卒業をすることをめざす「法曹コース」を選択することにより、約2年早く最短6年で法曹資格を取得できるようになりました。
「一貫教育プログラム」が始まる前は法曹になるまで最短8年かかっていましたが、大幅な短縮ができたとわかります。
一定の条件を満たした希望者は、法科大学院在学中に司法試験を受験することもできます。
法曹を目指す人の早期キャリア形成を応援する取り組みであり、他大学法学部にはありません。
グローバル教育にも力を入れている
中央大学法学部はグローバル教育にも力を入れており、交換留学・認定留学の制度が充実しています。
半年から1年間の海外体験でグローバルな視野を培えるので、毎年多くの学生が志願するようになりました。
また、一部を除いて留学先での取得単位が卒業単位として認定されるので、留学により卒業年度が先送りになることもありません。
グローバルなリーガルマインドを身につけ、国際社会に貢献する法曹を目指したい方におすすめです。
中央大学の看板学部の進学・就職実績は?
まさに別格!法学部の2021年度卒業生の進路状況
中央大学法学部生の就職率は73.4%であり、非常に高いのが特徴です。
このなかには大学院(ロースクール)への進学・留学・起業・独立などが含まれていないので、これを含めれば相当な進路決定率だと言えるでしょう。
事実、「未定・就職浪人」と届け出をした学生の比率は1.1%であり、99%程度の学生が何かしらの形で自分の進路を決めたことがわかります。
なお、中央大学法学部卒業生の主な就職先は、下記の通りです。
法曹以外にも、公務員やコンサルなどさまざまな就職先があります。
【主な就職先】
国税庁
国土交通省
神奈川県横浜市役所
総務省
法務省
法務省検察庁
神奈川県庁
三井不動産リアルティ
アクセンチュア
経済産業省
まさに別格! 法学部のすごいランキング!
国家公務員 一般職合格者数 私立大学 第1位
中央大学は、国家公務員一般職に合格した人の数が日本の私立大学のなかで1位に輝いています。
国公立大学を含めた全体でも2位を記録しており、全国でもトップレベルの実績がある大学とわかります。
中央大学生は堅実なキャリアを希望する傾向が高いので、より公務員試験の受験割合が高いというのも影響しています。
国家公務員 総合職合格者数 私立大学 第4位
国家公務員のうち、総合職として合格した人の数も私立大学のうち4位を記録しています。
中央大学では「国家公務員総合職」「国家公務員一般職・地方公務員上級職」の2体系で、公務員試験合格に向けたカリキュラムを用意しています。
受験対策を万全にしたいという方も、中央大学を検討してみるとよいでしょう。
裁判所職員 一般職 採用数 第1位
中央大学は特に法学部が強い大学でもあり、裁判所職員一般職として採用される人の数が全国1位を記録しています。
司法にかかわるエキスパートを輩出する、中央大学ならではの強みと言えるでしょう。
裁判の進行はもちろん、裁判所の運営を支える裏方として活躍する卒業生も多いです。
都道府県、市区町村職員採用数 第2位
中央大学は、都道府県・市区町村の職員として採用される人の数でも2位を記録しています。
人気のある難関私立大学だからこそ全国各地から受験生が集まっており、Uターン就職・Iターン就職する人が全国の市区町村に散らばっています。
卒業したての20代から60代を越えて定年退職を迎えた方まで、幅広い中央大学イズムがあるとわかります。
中央大学の看板学部が2023年度ついに都心に移転!
2023年4月に、法学部のみが新設キャンパスである「茗荷谷キャンパス」に移転します。
今後中央大学法学部に入学する人は、全員4年間を通して茗荷谷キャンパスに通うことになるので注意しましょう。
また、既存の1~4年生も全て法学部生であれば茗荷谷キャンパスに移転します。
法学部の都心展開は、創立130周年にあたる2015年に、その後の10年間を見据えて策定した中長期事業計画「Chuo Vision 2025」に基づいておこなわれました。
法学部3年間+ロースクール2年間、合計5年の一貫教育による新たな法曹養成制度のもと、法学部の都心展開により、ロースクール(新宿区の市ヶ谷キャンパスから、2023年に千代田区の駿河台キャンパスに移転)との一体的な運用がこれまで以上に可能となります。
駿河台(御茶ノ水)に移転する中央大学法科大学院(ロースクール)とは地下鉄で3駅の距離なので、アクセスも抜群と言えるでしょう。
また、法曹・公務員養成機能を担ってきた炎の塔の機能も茗荷谷キャンパスに移転します。
アクセスのよい立地と伝統大学としてのネットワークを活用し、法曹・企業・公務で活躍する実務家教員による授業の充実がされるので、今後の期待ができそうですね。
まとめ
中央大学は「実学」の精神が根付く堅実な大学であり、就職率が高めです。
一般企業はもちろん、公務員・弁護士や公認会計士などの専門職・国会議員など多彩なキャリアが歩めるので、オープンキャンパスなどに出向く際は就職情報をチェックしてみてもよいでしょう。
看板学部である法学部は毎年特に人気を集めるので、早めの受験対策が必須です!